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店主のブログ 文Tube テーマ 「風」

本題に入る前に江戸末期に姫路藩で建造された

「速鳥丸」という御用船について触れたい。

当時、姫路藩では木綿専売が重要な収入源であり、

収益構造を大きく変えるべく大阪から江戸へと

マーケットを移した。交易用の海上輸送時には

「海上備金」という保険制度を適用しており、

事故が多発すれば藩の財政に大きく影響する為、

悪天候に強い洋式船が採用された。

それが「速鳥丸」である。同船は江戸との間を

計80回に及ぶ航海を務め藩財政に大きく貢献

したと言われている。

 

本題に入りたい。昨年2023年当社は多事多端だった。

ようやくコロナという長いトンネルから抜けたとは言え、

我々の業界が直面する問題は山積みである。

 

原油高騰やウクライナ問題による原材料の高騰、

2024年問題を含めて労働環境の改善、人口減による

人材の確保などなど。

この問題はすべて物価に直結し我々の商いにも大きく

影響した。当社も昨年はお客様にご迷惑を

お掛けするも、泣く泣く価格を上げた。

しかし価格を上げたからといってその分売上が上るもの

でもない。まだまだ物価上昇への意識が低い。

しかしながら「物価を上げる」これは必須である。

 

物価上昇は先進国の中でも大きく出遅れている。

私が大好きなマクドナルドのビッグマックを

例にとってみると、アメリカの値段は5.58$に対して

日本は3.17$である。これはマクドナルドを展開する

主要54か国中44位。1位のスイスにおいては7.73$。

円安かつ物価が安い。インバウンドが増える訳である。

 

東京でよく利用するレストランに行ったが予約以外は

受けていないといわれた。長年利用していることもあり

入店させてくれたが店内はガラガラ。

理由を店員に聞く訳にもいかず業界の事情を調べると

インバウンド用に席を空けているという。

一般の日本人客と客単価に大きな差異があるから

だという。良い気はしないが合点がいった。

 

昨秋NYへ行ったが物価の高さにも驚いた。

と同時にアメリカらしい国民性を感じた。

物価が上昇し続ける中で「自分たちの生活レベルを

下げたくない」という意識が強く、より良い条件の

職場を求めて自身の身を移す。つまり転職が多い。

 

日本人は長い間「終身雇用」という人事制度の元、

こうした状況において生活を切り詰めて「我慢」

してきた。事実バブル崩壊やリーマンショックも耐え、

忍び、乗り越えてきた。

そんな意識が根強く残っているのだろう。

 

しかし今後抱えている日本の問題は「耐え」や「我慢」で

乗り越えられる問題ではないと皆ぼんやりと気が付いて

いる筈である。

当社はそんな将来を見据え、昨年大きな改革を行った。

お客様には直接伝わりにくいが、

創業以来の大改革である

 

この先の大きな荒波には逆らえない。しかし波に飲み

込まれ流されるわけにもいかない。

そう前述で述べた「速鳥丸」のように時代に合わせた

大きな改革が必要なのである。

 

当社は開業以来、毎年「同業他社がやらない」ことを

積極的に取り組んできた。

また「前年の成功は失敗に繋がる」として毎年変わった

施策を打ってきた。「変わるために変わらず」。

 

今回は「変わらないために変わる」改革である。

和菓子を作り、お客様にお召し上がりいただき、

従業員とお取組み先と共に航海をしていく為の

改革である。

 

改革後の航海はまだ始まったばかりだが、

「清々しい大きな風」を感じる。「どんな?」と問われると

何とも答えようが無いが、とにかく今までにない

「新しく大きな風」を感じ、舵をとっている。

 

そう「順風」という言葉がしっくりきそうである。

大きな風を受けて帆が膨らんだ船は大きく前に進み

波を越えていく。しっかりと舵を握り前進していきたい。

「新しい大きな風」と共に。